⑤サラー(礼拝)の形
● 崇高なるアッラーは全てのムスリムに、昼夜5回のサラーを義務付けられました。つまりそれらは:①ズフル(正午過ぎのサラー)、②アスル(午後遅くのサラー)、③マグリブ(日没直後のサラー)、④イシャー(夜更けのサラー)、⑤ファジュル(夜明け前のサラー)です。
● サラーに臨む者はまずウドゥー[1]し、約3ズィラーァ[2]ほど前方にストゥラ[3]を置いて、キブラ[4]を向きます。そしてストゥラとサジダ(跪拝)した時に額がつく場所の間は羊1頭が通過出来る位の間隔にし、ストゥラと自分の間には何も置きません。サラーをする者とストゥラの間を通過するのは、罪深い行いです。
アブー・ジュハイム(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“サラーしている者の前を通過することの罪を知ったなら、その前を通るよりも40年間(その者がサラーを終えるまで通過せずに)待つことの方がよいであろうに。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[5])
● サラーに臨む者は、サラーをするということを心でもって意図します。それから「アッラーフ・アクバル」と唱えつつ、タクビーラトゥ・アル=イフラーム[6]をします。その際には指を広げ、手の平はキブラの方に向けつつ、両手を肩、あるいは耳の高さまで上げます。「アッラーフ・アクバル」と唱えることと両手の動作は、時に同時に、また時にどちらかを少し先行させて行います。こうすることで、伝えられている様々な種類のスンナ[7]を実践することが出来るのです。
● それからサジダ(跪拝)した時に額がつく場所のあたりを畏怖の念を持って眺めつつ、右手を左手の甲と手首と前腕の上に重ね、それを胸の上に置きます。そして時には右手で持って左手をつかみ、また時にはつかまないようにします。
● それからスンナで伝えられているズィクル(念唱)やドゥアー(祈願)でもって、サラーを開始します:
1-「アッラーよ、あなたが東西の間を遠く隔てられたように、私と私の過ちの間を遠く隔てて下さい。アッラーよ、白い服が汚れから清められるように、私を私の過ちから清めて下さい。アッラーよ、雪と水と雹で私を私の過ちから洗い清めて下さい。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[8])
2-「(あらゆる欠陥や不完全性から遥かに無縁な)崇高なアッラーよ、あなたを讃美します。あなたの御名は祝福に溢れ、あなたのご偉力は至高です。あなたの他に真に崇拝すべきものはありません。」(アブー・ダーウードとアッ=ティルミズィーの伝承[9])
3-「アッラーよ、ジブリールとミーカーイールとイスラーフィール[10]の主、天地の創造主よ。不可視なる世界と可視なる世界をご存知になられるお方よ。あなたこそあなたのしもべたちが以前意見を異にしていたことに関して、彼らの裁決を下されるお方。真理から反れたことに関して、あなたのお許しをもって私をお導き下さい。あなたこそあなたがお望みになる者を真っ直ぐな道へとお導きになられるお方です」(ムスリムの伝承[11])
4-「アッラーは偉大なり。アッラーを限りなく讃美します。朝に夕に、アッラーの(あらゆる欠陥や不完全性から遥かに無縁な)崇高さに称えあれ。」(ムスリムの伝承[12])
5-「アッラーに、限りなく、素晴らしく、祝福に溢れた讃美あれ。」(ムスリムの伝承[13])
これらの言葉を、時にはこれ、また時にはこれ、という風に変化させて用いるようにします。こうすることで、伝えられている様々な種類のスンナを実践することが出来るのです。
● それから声に出さずに「アウーズ・ビッラーヒ・ミナッシャイターニッラジーム(私はアッラーに、呪われしシャイターン(悪魔)からのご加護を乞います)」と唱えます。
あるいはこう言います:「アウーズ・ビッラーヒッサミーイルアリーミ・ミナッシャイターニッラジーミ・ミン・ハムズィヒ・ワ・ナフヒヒ・ワ・ナフスィヒ(私は全知全能のアッラーに、呪われしシャイターン(悪魔)の囁きかけと吹き込み、そしてその唾からのご加護を乞います)」(アブー・ダーウードとアッ=ティルミズィーの伝承[14])
● それから声を出さずに「ビスミッラーヒッ=ラフマーニッ=ラヒーム(慈悲遍く慈悲深きアッラーの御名において)」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[15])と唱えます。
● そしてクルアーンのアル=ファーティハ章を、アーヤ(句)ごとにきちんと区切って読みます。イマーム(サラーを率いる者)がそれを声に出して読む時以外は、全てのラクアにおいてアル=ファーティハ章を声に出さずに読まなくてはなりません。アル=ファーティハ章の読誦なしのサラーは、成立しないのです。
● アル=ファーティハ章の読誦が終わったら:イマーム、イマームについてサラーする者、単独でサラーする者の別なく、声を伸ばして「アーミーン[16]」と唱えます。但し声を出さずに行うサラー(ズフル、アスルなど)においては、この限りではありません。
アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「“イマームが「アーミーン」と言ったら、あなた方も「アーミーン」と言うのだ。というのも天使たちのタアミーン[17]に(唱えるタイミングが)一致した者は、それ以前の罪を赦されるのであるから。”」
イブン・シハーブは伝えています:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はこう言ったものでした:“アーミーン。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[18])
● そして最初の2ラクアにおいてアル=ファーティハ章を読み終わったら、その後にクルアーンのスーラ(章)か、あるいは適当なクルアーンの一部を選んで読みます。そして時には読誦を長引かせ、また時には旅行や咳、病気や子供の泣き声などの原因を考慮に入れて短く切り上げます。通常スーラは1つ丸ごと読みますが、1つのスーラを2つのラクアに分割したり、また1ラクア目で読んだ分を2ラクア目で復唱したり、あるいは1つのラクアで2つ以上のスーラを読み続けることも出来ます。クルアーンはゆっくりと美しい抑揚をもって読誦するようにし、また美しい声を用いるように努めます。
● ファジュルのサラーと、マグリブとイシャーの最初の2ラクアは、声を出して読みます。そしてズフルとアスルのサラー、及びマグリブの3ラクア目とイシャーの最後の2ラクアは声を出さずに読みます。そしてクルアーンの各アーヤをきちんと区切って読むようにします。
● 義務の5つのサラーで読むことが推奨されているクルアーン:
1-ファジュル:アル=ファーティハ章の後、最初の1ラクア目では-カーフ,(クルアーン50)などの長めのアル=ムファッサル[19]、あるいは時には-太陽が包み隠されるとき…,(クルアーン81)や-大地が激しく揺れ動かされる時…,(同99)などの中位・短めのアル=ムファッサルから読みます。また時には、とても長引かせても良いでしょう。そして1ラクア目では2ラクア目に比べて、長めに読みます。また金曜日は1ラクア目に「サジダ章」(クルアーン32)、2ラクア目に「人間章」(同76)を読むのがスンナです。
2-ズフル:1ラクア目では、アル=ファーティハ章の後にクルアーンの別の章句を読みます。そして最初の2ラクアではそれぞれおよそ30アーヤほど読みますが、1ラクア目の読誦は2ラクア目のそれよりも長めになるようにします。また時には読誦を長引かせ、時には短めのアル=ムファッサルを読みます。尚最後の2ラクアでは、アル=ファーティハ章しか読みません。またイマームは、時々読誦の声が回りに少し聞こえる位の程度で読むことも出来ます。
3-アスル:1ラクア目では、アル=ファーティハ章の後にクルアーンの別の章句を読みます。そして最初の2ラクアではそれぞれおよそ15アーヤほど読みますが、1ラクア目の読誦は2ラクア目のそれよりも長めになるようにします。尚最後の2ラクアでは、アル=ファーティハ章しか読みません。またイマームは、時々読誦の声が回りに少し聞こえる位の程度で読むことも出来ます。
4-マグリブ:アル=ファーティハ章の後には、時には短めのアル=ムファッサルを、また時には長め・中位のアル=ムファッサルを読みます。また時には最初の2ラクアで「高壁章」(クルアーン7)や「戦利品章」(同8)を読んだりすることもあります。3ラクア目はアル=ファーティハ章以外は読みません。
5-イシャー:最初の2ラクアでは中位のアル=ムファッサルを読みます。3ラクア・4ラクア目はアル=ファーティハ章以外は読みません。
● そしてクルアーンの読誦が終わったら、少々沈黙して間を置きます:それから両手を肩、あるいは耳の高さまで上げて「アッラーフ・アクバル」と唱えます。そしてルクーゥ(お辞儀の形の礼拝動作)をし、両手を両膝に掴む形であてます。その際両手の指は開いた状態にし、両肘を胴体には密着させません。また背中は真っ直ぐにし、頭を背中と同じ高さにします。ルクーゥの最中は落ち着きと平静を保ち、主の偉大さを讃える念唱をします。
● ルクーゥの際に唱えるズィクル(念唱)やドゥアー(祈願)の数々:
1-「偉大なる私の主の(あらゆる欠陥や不完全性から遥かに無縁な)崇高さよ。」(ムスリムの伝承[20])
2-「私たちの主アッラーの、(あらゆる欠陥や不完全性から遥かに無縁な)崇高さよ。あなたを讃えます。アッラーよ、私(の罪)をお赦し下さい。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[21])このドゥアーはルクーゥ、及びサジダの際に数多く唱えるようにします。
3-「(あらゆる欠陥や不完全性から遥かに無縁な)崇高なるお方。聖なるお方。天使たちとジブリールの主よ。」(ムスリムの伝承[22])
4-「アッラーよ、私はあなたのためにルクーゥし、あなたのみを信仰し、あなたに服従しました。私の耳も、目も、脳も、骨も、神経も、あなたを畏敬します。」(ムスリムの伝承[23])
5-「この上なき権勢と王国、強大さと偉大さの持ち主の(あらゆる欠陥や不完全性から遥かに無縁な)崇高さよ。」(アブー・ダーウードとアン=ナサーイーの伝承[24])このドゥアーはルクーゥ、及びサジダの際に唱えます。
これらの言葉を、時にはこれ、また時にはこれ、という風に変化させて用いるようにします。こうすることで、伝えられている様々な種類のスンナを実践することが出来るのです。
● そしてルクーゥの体勢から、背中の骨が伸びて上体が真っ直ぐな起立体勢になるまで戻します。その際には、両手を耳か肩の高さまで上げながらこの動作を行います。起立した後にはこの両手を胸の前で合わせても良いですし、下に垂らすことも出来ます。尚イマーム、あるいは単独でサラーを行う者はこの時「サミアッラーフ・リマン・ハミダフ(アッラーはかれを讃える者をお聞き入れになられよう)」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[25])と唱えます。
● ルクーゥ後に真っ直ぐ起立した後、イマーム、イマームに従う者、単独でサラーをする者は次のように唱えます:
1-「ラッバナー・ワ・ラカ・アル=ハムド(私たちの主よ、そしてあなたにこそ全ての称賛があります)」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[26])
2-「ラッバナー・ラカ・アル=ハムド(私たちの主よ、あなたにこそ全ての称賛があります)」(アル=ブハーリーの伝承[27])
3-「アッラーフンマ・ラッバナー・ラカ・アル=ハムド(アッラーよ、私たちの主よ。あなたにこそ全ての称賛があります)」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[28])
4-「アッラーフンマ・ラッバナー・ワ・ラカ・アル=ハムド(アッラーよ、私たちの主よ。そしてあなたにこそ全ての称賛があります)」(アル=ブハーリーの伝承[29])
これらの言葉を、時にはこれ、また時にはこれ、という風に変化させて用いるようにします。こうすることで、伝えられている様々な種類のスンナを実践することが出来るのです。
● また時には上記の言葉に、以下のように付加するのも良いでしょう。
1-「ハムダン・タイイバン・ムバーラカン・フィーヒ(限りなく、素晴らしく、祝福に溢れた称賛を)」(アル=ブハーリーの伝承[30])
2-「ミルウ・アッ=サマーワーティ・ワ・ミルウ・アル=アルドゥ、ワ・ミルウ・マー・シウタ・ミン・シャイイン・バアド、アフラ・アッ=サナーイ・ワ・アル=マジュドゥ、ラー・マーニァ・リマー・アァタイタ、ワ・ラー・ムゥティヤ・リマー・マナァタ、ワ・ラー・ヤンファウ・ザー・アル=ジャッディ・ミンカ・アル=ジャッドゥ(あなたへの讃美は天地とその間にあるもの、そしてあなたの望むその他全ての物を満たします。讃美と栄光の主よ、あなたがお与えになるものを禁じる者はなく、あなたが禁じられるものを与えられる者はおりません。(現世における)どんな優れた境遇も、あなたの御許での真の幸福を益することはありません。[31]」(ムスリムの伝承[32])
3-「ミルウ・アッ=サマーワーティ・ワ・ミルウ・アル=アルドゥ、ワ・ミルウ・マー・シウタ・ミン・シャイイン・バアド、アフラ・アッ=サナーイ・ワ・アル=マジュドゥ、アハック・マー・カーラ・アル=アブド、ワ・クッルナー・ラカ・アブド。アッラーフンマ・ラー・マーニァ・リマー・アァタイタ、ワ・ラー・ムゥティヤ・リマー・マナァタ、ワ・ラー・ヤンファウ・ザー・アル=ジャッディ・ミンカ・アル=ジャッドゥ(あなたへの讃美は天地とその間にあるもの、そしてあなたの望むその他全ての物を満たします。讃美と栄光の主よ、そのしもべが讃えても讃えきれないお方よ、私たちは皆あなたのしもべです。アッラーよ、あなたがお与えになるものを禁じる者はなく、あなたが禁じられるものを与えられる者はおりません。(現世における)どんな優れた境遇も、あなたの御許での真の幸福を益することはありません。」(ムスリムの伝承[33])
● 尚、ルクーゥの後のこの起立姿勢を平静を保ちつつ長く続けるのはスンナです。
● それからタクビール[34]して、サジダ(跪拝)へと移行します。サジダの際には両膝よりも先に両手で地面に着くようにし、7つの部位‐①②両手の平、③④両膝、⑤⑥両足、⑦額と鼻先‐を地面につけます。そして両手は指を開かずにキブラの方に向け、間隔を空けて地面に着けて体を支えます。また両手は時には肩の位置に、時には鼻の位置に置きます。
● 額と鼻は地面につけます。そして両腕が両脇に、腹部が両腿につかないようにします。また肘と前腕は地面につけません。
● 両膝と両足先は地面につけます。また両足先を立て、その指先はキブラの方を向くようにします。両足と両足の間隔は空け、落ち着いた形でサジダし、ドゥアーを沢山唱えます。尚ルクーゥとサジダの際には、クルアーンは読みません。
● サジダの際には、以下に挙げるようなドゥアー(祈願)やズィクル(念唱)を唱えます:
1-「至高であられる私の主の(あらゆる欠陥や不完全性から遥かに無縁な)崇高さよ。」(ムスリムの伝承[35])
2-「私たちの主アッラーの、(あらゆる欠陥や不完全性から遥かに無縁な)崇高さよ。あなたを讃えます。アッラーよ、私(の罪)をお赦し下さい。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[36])
3-「(あらゆる欠陥や不完全性から遥かに無縁な)崇高なるお方。聖なるお方。天使たちとジブリールの主よ。」(ムスリムの伝承[37])
4-「アッラーよ、私はあなたにサジダし、あなたを信仰し、あなたに従いました。私の顔はそれを創造し、形造り、そこから耳と目を刻み分けたお方に平伏します。最高の創造主アッラーに称えあれ。」(ムスリムの伝承[38])
5-「アッラーよ、大きいものも小さいものも、最初のものも最後のものも、知られているものもまだ知られていないものも、私の罪を全てお赦し下さい。」(ムスリムの伝承[39])
6-「アッラーよ、私はあなたのご満悦によってあなたの怒りからの、そしてあなたのお赦しによってあなたの懲罰からの、あなたによってあなたからのご加護を求めます。私はあなたが御自身を讃美されたようにあなたを讃美することは出来ません。」(ムスリムの伝承[40])
7-「(あらゆる欠陥や不完全性から遥かに無縁な)崇高なるお方、私はあなたを讃美します。あなたの他に真に崇拝すべきものはありません。」(ムスリムの伝承[41])
これらの言葉を、時にはこれ、また時にはこれ、という風に変化させて用いるようにします。こうすることで、伝えられている様々な種類のスンナを実践することが出来るのです。
● それから「アッラーフ・アクバル」と唱えつつ、サジダの状態から頭を上げます。そして左足の上にお尻をつけて座り、右足は立ててその指先をキブラの方に向けます。両手は指を開いて、それぞれ腿か膝の上に乗せます。あるいは両の踵を立てた上にお尻を乗せ、正座のような状態で座ることも可能です。いずれの場合にせよ座位の姿勢で落ち着いて静止し、中途







