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7グスル

     グスルとは:定められた形において、全身に清浄な水を行き渡らせることです。グスルは清潔さと清浄さの宗教である、イスラームの1つの美点です。

     グスルを要する状態は次の6つです:

     意識的に何かを用いて、あるいは性交により、またあるいは睡眠中に、快感を伴いつつ精液が発射された時。これに関して男女の別はありません。

     男性器が女性器に挿入された時。精液が発射されたかどうかは問いません。

     ムスリムが死んだ時。但しアッラーの道において戦地で殉教した者は別です。

     不信仰者がイスラームに改宗した時。

     月経が終了した時。

     産後の出血が終了した時。

アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“(女性の)四肢の間に座り、勤しんだ者[1]は、グスルしなければならない。”(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[2]

     最も簡素なグスルの形:

グスルのニーヤ(意図)を立て、一時に全身に水を行き渡らせます。

     完全なグスルの形:

グスルのニーヤを立て、両手を3回洗います。それから陰部とその汚れを洗浄し、ウドゥー[3]します。そして頭に水を3回かけ、手で髪をほぐしながら洗います。それから一時に残りの体の部位を洗いますが、その際体の右側から始めるようにし、また皺状になった部位は揉んできちんと水が行き渡るようにします。そして水は出来るだけ節約するように心がけます。

     預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)のグスルの仕方:

イブン・アッバース(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「母方の叔母マイムーナ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は、私にこう言いました:“私はアッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)に、彼が不浄な状態から身を清めるための水を差し出しました。彼は両手を2回あるいは3回洗うと、手を(水の入った)容器に入れ、(手で水をすくって)それを陰部にかけました。そして左手でそれを洗うと、その左手を地面につけ、(汚れを落とすために)強くこすりました。それからサラー(礼拝)をする時のウドゥーをするようにウドゥーをし、両手一杯の水を頭に3回かけました。それから残った全身を洗うと、その場を後にしてから両足を洗いました。そして私は彼に布を差し出しましたが、彼はそれを断りました。(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[4]

     グスルの前に、サラーをする時のウドゥーをするようにウドゥーするのはスンナです。尚ウドゥーせずにグスルするか、あるいはグスルする前にウドゥーをした場合、グスル後にウドゥーをすることはありません。

     グスルを要する状態にあるものが禁じられること:

サラー。カアバ神殿のタワーフ[5]。クルアーンに触れること。モスクに滞在すること(しかしウドゥーすれば滞在することは出来ます)。

     体から異臭が漂っているような者は、グスルしなければなりません。またそのような状態にはなくとも、金曜日にグスルすることは推奨されています。

     性交の直後にグスルするのはスンナ[6]ですが、グスルせず不浄な状態のまま眠りにつくことは許されます。しかし次に示す伝承にもある通り、寝る前に少なくとも陰部を洗浄し、ウドゥーしておくのがよりよい方法です。

アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は不浄な状態のまま寝ようとする時には、陰部を洗浄し、サラーする時のようなウドゥーをしました。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[7]

     夫婦は例え互いのアウラ[8]が露わになったとしても、不浄な状態を除去するためのグスルを1つの容器を用いて一緒にすることが許されます。

アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私と預言者(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は不浄な状態にある時、1つの容器を用いて一緒にグスルしました。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[9]

     妻と性交し、またそうしたいと思う者は、その合間にグスルをすることが推奨されます。もしそうすることが叶わなければ、せめてウドゥーをします。そうすることで、より活力が増すことでしょう。

     推奨されるグスル:

 ハッジ(大巡礼)とウムラ(小巡礼)のイフラーム[10]の際のグスル。死体を洗浄した者のグスル。精神錯乱や失神状態から回復した時のグスル。マッカに入った時のグスル。性交と性交の合間のグスル。シルク[11]の徒を埋葬した者のグスル。

● グスルをする時は、人から見えないようにしなければなりません。1人きりの場所でグスルする時は裸になることも許されますが、例えそのような場合でも体を覆い隠しながらグスルする方がよいとされます。というのもアッラーこそは、人の目よりも羞恥心を抱かなければならない存在だからです。

● 2度以上の性交、あるいは2人以上の妻との性交後は、1度のグスルでその不浄な状態を解消することが出来ます。アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は何人かの妻のもとを訪れましたが、グスルは1回したのみでした。(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[12]

     月経と性交、あるいは性交と金曜日のグスル、といった具合に、違う目的の2つ以上のグスルを1つにまとめることも可能です 

     女性のグスルも男性のそれと同様に行います。また性交後のグスルの際、女性は髪を解いて洗う必要はありません。但し月経や産後の出血後のグスルの場合、そうすることが推奨されます。

     グスルのスンナ:

 その前にウドゥーすること。汚れを除去すること。頭に水を3回かぶること。そして体にも3回水をかけること。体の右の部位から始めること。

     グスルに用いる水の量:

グスルは、1サーア[13]から5ムッド[14]までの量を用いて行うのがスンナです。それより少なくても問題ありませんが、どうしてもそれ以上使用したい場合は3サーアほどまで使用することが許されます。ウドゥーとグスルにおいて水を無駄遣いすることは禁じられているのです。

 アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は1サーアから5ムッド(の水)を用いてグスルし、1ムッド(の水)でウドゥーしたものでした。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[15]

     トイレでグスルすることは、忌避すべきことです。というのもトイレは汚れの存在する場所であるからであり、そこでグスルすることはシャイターンの囁きに身を晒すことになるからです。また汚れないためにも、排尿をした同じ場所[16]でグスルをしてはなりません。

 


[1] 訳者注:性交に関する婉曲的表現です。

[2] サヒーフ・アル=ブハーリー(291)、サヒーフ・ムスリム(348)。文章はアル=ブハーリーのもの。

[3] 訳者注:詳しくはこの章の「4.ウドゥー」の項を参照のこと。

[4] サヒーフ・アル=ブハーリー(276)、サヒーフ・ムスリム(317)。文章はアル=ブハーリーのもの。

[5] 訳者注:「タワーフ」は巡礼(ハッジとウムラ)の諸義務行為の内の1つ。アッラーを崇拝するためにカアバ神殿の周囲を7回逆時計回りに廻ります。

[6] 訳者注:預言者ムハンマド(彼にアッラーの祝福と平安あれ)の示した手法や道のこと。ムスリムは可能な限り、彼のスンナを踏襲するべきであるとされています。

[7] サヒーフ・アル=ブハーリー(288)、サヒーフ・ムスリム(305)。文章はアル=ブハーリーのもの。

[8] 訳者注:「アウラ」とは人前で晒してはいけない体の部位で、男性のアウラはへそから両膝までで、男性に対する女性のアウラは顔と両手を除く全身ですが、その他にも諸見解があります 。

[9] サヒーフ・アル=ブハーリー(263)、サヒーフ・ムスリム(321)。文章はアル=ブハーリーのもの。

[10] 訳者注:「イフラーム」とはハッジにせよウムラにせよ、巡礼の儀の開始をニーヤ(意図)することです。

[11] 訳者注:詳しくは「タウヒードとイーマーン」の章のシルクの項を参照のこと。

[12] サヒーフ・アル=ブハーリー(268)、サヒーフ・ムスリム(309)。文章はムスリムのもの。

[13] 訳者注:サーアはマディーナの計量単位の1つで、果実や種子・穀物類などに用いられます。1サーア(2752ml)は4ムッドに相当します。

[14] 訳者注:ムッドは両手一杯に相当する量(およそ688ml)を指し、1サーアの4分の1にあたります。

[15] サヒーフ・アル=ブハーリー(201)、サヒーフ・ムスリム(325)。文章はアル=ブハーリーのもの。

[16] 訳者注:著者のこの言葉は、野外のように排便した際に汚物がそのまま留まっているような場所のことを指していると思われます。

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