天国の享楽
● ここでは天国の様子と、その恒久的な享楽について見て行きます。アッラーが私たちとあなた方、そしてムスリムたちをその住人として下さいますように。実にかれは寛大なお方であられます。
1-至高のアッラーはこう仰られました:-われら(アッラーのこと)のみしるしを信仰し、ムスリムとなった者たち。(彼らにはこう言われる:)「あなた方とあなた方の配偶者たちは、嬉々として天国に入るのだ。」(彼らのもとに)金の皿と杯が運ばれてくる。そこには(天国の民の)望み、眼を喜ばせるものがある。そしてあなた方はそこに永久に留まるのだ。,(クルアーン43:69-73)
2-至高のアッラーはこう仰られました:-ムッタクーン(アッラーのお怒りと懲罰を招くような事柄から身を慎む者たち)はその日、安全な立ち所にある。(彼らは)園々といくつもの泉の中に、薄地と厚地の絹の衣服をまといつつ互いに向かい合っている。またわれら(アッラーのこと)は彼らに、色白で大きな眼の美女たちを娶らせる。(彼らは)そこで何の悪や害も被ることなく、ありとあらゆる果実を運んで来させるのだ。(彼らは現世で味わった)1度目の死後、そこで死を味わうことはない。そしてわれらは彼らを地獄の懲罰から守ったのである。,(クルアーン44:51-56)
3-至高のアッラーはこう仰られました:-そして(アッラーは、)彼らが(現世において)辛抱したことに対し、楽園と絹(の衣服)をもって報いた。(彼らは楽園の中で)ソファーに寄りかかっている。そこでは酷暑も酷寒もない。そして木々は(彼らを)その蔭で覆い、その果実の房は(容易に手が届く高さにまで)垂れ下がっている。そして(彼らのもとに)銀の食器類と杯が運ばれてくる。瓶は銀製で、(給仕の少年たちはそれでもって飲みたいだけ)注いでくれる。そしてそこ(天国)において、彼らは生姜の混ぜられた(飲み物の)杯から飲み物を得る。そしてサルサビールと名付けられた泉から(飲む)。そして彼らの間を永遠の少年たちが行き交う。あなた方が彼らを見れば、散りばめられた真珠かと思うであろう。それから(天国に)目をやれば、あなたはえも言われぬ安楽と巨大な王国を目にしよう。彼らの上には緑色の薄い絹と重厚な絹の衣が羽織らされ、また銀のブレスレットでもって飾り立てられる。そして主は、彼らに清浄な飲み物を与えられる。,(クルアーン76:12-22)
4-至高のアッラーはこう仰られました:-そして(イーマーンへと)急ぐ者たち。彼らこそは安楽の地においてアッラーにより近い者たちである。(彼らは)先人たちからの者が多く、後世の者たちからは少ない。(彼らは宝石などが)織り込まれた寝台の上に、互いに向き合った形で寄りかかっている。彼ら(天国の民)のもとを永遠の少年たちが廻る。杯と水差し、(美酒が流れる川からの)盃を携えて。(彼らは)それによって頭痛を覚えることもなければ、理性を失うこともない。そして(給仕の少年たちは)彼らのお好みの果実と、彼らの望みのままの鶏肉を(も携えて来る)。そして美しい乙女たち。彼女たちは秘められた真珠のよう。(それらは)彼らが(現世で)励んでいたことに対する報奨なのである。(彼らは)そこで戯れ事や嘘を耳にすることもない。ただお互いに「平安あれ。」と挨拶し合うだけである。,(クルアーン56:10-26)
5-至高のアッラーはこう仰られました:-そして右側の徒。右側の徒とは何か?(彼らは)棘のないスィドルの木々の蔭にいる。そして重なり茂るアカシア[1]の木々。去り行くことのない大きな日陰。いつでもどこにでも(彼らの近くを)流れ、注がれる水。そして豊富な果物。(それらは)途絶えてしまうことも禁じられることもない。そして持ち上げられたしとね。実にわれら(アッラーのこと)は彼女たちをこしらえた。そして彼女らを(永遠の)乙女とし、愛しい同年輩のものとした。(これらは全て)右側の徒のためである。(彼らは)先人たちからの者が多く、また(イスラーム以後の)後世の者たちからも多い。,(クルアーン56:35-40)
6-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)によると、預言者(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:「偉大かつ荘厳なるアッラーは仰られた:“われは敬虔なしもべたちに、いかなる者の目も眼にしたことがなく、いかなる者の耳も聞いたことがなく、またいかなる者の心にも思い浮かばなかったようなものを用意しておいた。”偉大かつ荘厳なアッラーの啓典の中に、それを確証するものがある:-そして人は、(天国において)彼らのために隠された享楽を1つとして知ることがない。,」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[2])
● 天国の民のズィクル(唱念)と言葉:
1-至高のアッラーはこう仰られました:-そして(天国の民は)言う:「私たちにそのお約束を遂行され、そして私たちに天国の地を授けて下さったアッラーに全ての賞賛あれ。私たちはそこにおいて、望む所に住まいを得るのだ。(アッラーが命じられ、そしてご満悦される)行いに励んでいた者たちの報奨の何と素晴らしいことか。」,(クルアーン39:74)
2-至高のアッラーはこう仰られました:-そこにおける彼らの祈願の言葉は「アッラーよ、あなたは(何の欠点や不完全性からも無縁な)崇高なるお方です。」であり、彼らの挨拶の言葉は「平安あれ。」である。そして最後の祈願の言葉は「万有の主アッラーに全ての賞賛あれ。」なのである。,(クルアーン10:10)
3-至高のアッラーはこう仰られました:-(彼らは)そこで戯れ事や嘘を耳にすることもない。ただお互いに「平安あれ。」と挨拶し合うだけである。,(クルアーン56:25-26)
● 主から天国の民へのサラーム(挨拶の言葉):
1-至高のアッラーは仰られました:-(天国の民が)かれ(アッラーのこと)とまみえるその日、アッラーからの彼らへの報奨は「サラーム(平安あれ)」である。(アッラーは)彼らに対してよき報奨を用意されたのだ。,(クルアーン33:44)
2-至高のアッラーは仰られました:-彼らには「サラーム(平安あれ)」という(挨拶の)言葉が、慈悲深い主よりかけられる。,(クルアーン36:58)
● アッラーのご満悦:
アブー・サイード・アル=フドゥリー(彼にアッラーのご満悦あれ)によると、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「アッラーは天国の民にこう仰られる:“天国の民よ。”すると彼らは言う:“はい。何でしょうか、われらが主よ。私たちはあなたへの奉仕に尽くします。そして全ての善はあなたの御手に委ねられています。”すると(アッラーは)仰る:“あなた方は満悦したか?”すると彼らは言う:“主よ、満悦しないことがありましょうか?あなたは私たちに、他のいかなる者にも与えられなかったものを与えて下さったというのに。”すると(アッラーは)仰る:“それよりよいものを与えてやろうか?”すると彼らは言う:“主よ、これらよりよいものがありましょうか?”すると(アッラーは)仰る:“あなた方に対するわが満悦である。以後、われはあなた方に対して怒ることは決してないであろう。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[3])
アッラーよ、私たちと私たちの両親、私たちの家族と全ムスリムにあなたのご満悦をお授け下さい。そしてあなたのご慈悲をもって、私たちを安楽の園にお入れ下さい。
● 天国の民の列:
1-ブライダ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“天国の民は120列に並んでおり、その内80列はこのウンマ(イスラーム共同体)から、また40列は残りの民から成っている。”」(アッ=ティルミズィーとイブン・マージャの伝承[4])
● 天国におけるムハンマド(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)の共同体の割合:
アブドッラー・ブン・マスウード(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私たちは、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)と共にドームの下にいました。すると(預言者は)言いました:“あなた方は、あなた方が天国の民の4分の1を占めることを喜ばしく思うか?”私たちは言いました:“はい。”すると(預言者は)言いました:“あなた方は、あなた方が天国の民の3分の1を占めることを喜ばしく思うか?”私たちは言いました:“はい。”すると(預言者は)言いました:“あなた方は、あなた方が天国の民の半分を占めることを喜ばしく思うか?”私たちは言いました:“はい。”すると(預言者は)言いました:“私は、あなた方が天国の民の半分を占めることを望む。というのも天国にはムスリムしか入らないが、あなた方はシルク[5]の民の中において黒い雄牛の皮膚にある1本の白い、あるいは赤い雄牛の皮膚にある1本の黒い毛ほどの割合にも達しないからである。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[6])
● 天国の民:
1-至高のアッラーは仰られました:-そして信仰し、善行に励む者たちは天国の民であり、彼らはそこに永遠に留まるのだ。,(クルアーン2:72)
2-イヤード・ブン・ヒマール(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「・・・(次の)3種のものは天国の民である:公生で慈悲深い、成功にあふれた権力者。そして慈悲深く、全ての縁者とムスリムに優しい者。そして控え目で慎み深い、一家の主・・・。」(ムスリムの伝承[7])
3-ハーリサ・ブン・ワハブ(彼にアッラーのご満悦あれ)は預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)から次のように聞きました:「“天国の民について教えてやろうか?”(教友たちは)言いました:“ぜひとも。”預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“全ての弱く慎ましい者で、もし彼がアッラーにおいて誓えば、かれがそれを受け入れて下さるであるような者たちである・・・”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[8])
● 天国の民の大多数:
ウマラーン・ブン・フサイン(彼にアッラーのご満悦あれ)によると、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「私が天国の様子を見ると、その民の大多数は貧者であった。また地獄を見てみると、その大多数は女性であった。」((アル=ブハーリーとムスリムの伝承[9])
● 最後に天国に入る者:
アブドッラー・ブン・マスウード(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“最後に地獄から救い出されて天国に入る最後の者は、(地獄から)這いつくばいながらやって来る。彼の主は仰る:「天国に入るのだ。」すると彼は言う:「主よ、天国は既に(その民で)溢れ返っています。」そして彼の主は同じ言葉を3度繰り返され、男はその都度「主よ、天国は既に(その民で)溢れ返っています。」と答える。そして(最後にアッラーは)仰る:「あなたには現世同様のもの、及びその10倍のものを与えてつかわそう。」”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[10])
[1] 訳者注:前出のウトゥバのハディース参照のこと。
[2] サヒーフ・アル=ブハーリー(3244)、サヒーフ・ムスリム(2824)。文章はムスリムのもの。
[3] サヒーフ・アル=ブハーリー(6549)、サヒーフ・ムスリム(2829)。文章はムスリムのもの。
[4] 真正な伝承。スナン・アッ=ティルミズィー(2546)、サヒーフ・スナン・アッ=ティルミズィー(2065)スナン・イブン・マージャ(4289)、サヒーフ・スナン・イブン・マージャ(3462)。文章はアッ=ティルミズィーのもの。
[5] 訳者注:詳しくは「5.シルク」の章を参照のこと。
[6] サヒーフ・アル=ブハーリー(6528)、サヒーフ・ムスリム(221)。文章はムスリムのもの。
[8] サヒーフ・アル=ブハーリー(4918)、サヒーフ・ムスリム(2853)。文章はムスリムのもの。
[9] サヒーフ・アル=ブハーリー(3241)、サヒーフ・ムスリム(2737)。文章はムスリムのもの。
[10] サヒーフ・アル=ブハーリー(7511)、サヒーフ・ムスリム(186)。文章はアル=ブハーリーのもの。